ホテル近江屋

■ お客様に聞く - 「ホテル近江屋」代表取締役社長 近江 勇様

岩手県・宮古市のホテル近江屋。代表取締役社長の近江 勇さん(60歳)に、ハンズバリューへの評価について詳しく伺いました。

目次
  1. 「ホテル近江屋」について
  2. 集客が厳しい冬、客足伸びる
  3. ハンズバリューを利用するまでの経緯
  4. ハンズバリュー(島田)の宿泊プランづくり
    ・「我々には『見慣れた魚』でしかなかった」
    ・「発想がなかったし、商品化できなかった」
  5. ハンズバリューのホームページづくり
    ・ひと工夫で、「ご当地海鮮グルメの宿」感高める
    ・「最初、『これ聞いてどうするの?』と思った」
  6. ハンズバリューへの評価と今後の期待
  7. ハンズバリューを利用する方へのアドバイス

■ 「ホテル近江屋」について

– まず、ホテル近江屋についてお聞かせください。

当館は、三陸海岸に面した9階建てのホテルで、三陸の海の幸をふんだんに使った料理が特徴。創業は、30年以上前になります。部屋数は41室、主な施設は、宴会場2室、大浴場、朝食や夕食を召し上がっていただくお食事会場。社員、パートスタッフを合わせた23名と役員2名で、ホテルの運営に当たっています。

■ 集客が厳しい冬、客足伸びる

– ハンズバリューに、どういったことを依頼されましたか。

ホテル近江屋をどう売っていくかという方向性と宿泊プランの企画立案、ホームページリニューアルをお願いしました。
こうした依頼に対し、島田さん(ハンズバリュー代表)から、三陸の旬の海の幸を満喫できる「ご当地海鮮グルメの宿」として売っていこうとのご提案があり、これに沿って宿泊プランの企画、ホームページリニューアルを進めていただきました。

– 新しい宿泊プランやホームページに変更してみていかがですか。

まず、新しいプランを売り出したところ、「楽天トラベル」など宿泊予約サイト経由の集客数が前年度比で3割以上アップしました。販売を開始した2017年12月の結果です。

本来、冬は集客に苦労する季節ですが好調です。1月も、客数の伸びを感じています。

また、宿泊料金が高めの特別料理付き宿泊プランの中では、一番売りたい通年プラン「旬の地魚10種お造り盛り」付きプランが売れています。それから、予想外だったのが当館の料理がテレビで紹介されたこと。特別料理プランに盛り込んだ、真鱈でつくる郷土料理「ほうろぎ汁」が、ニュース番組の特集「マダラグルメ」で取り上げられたのです。テレビ局の方から、ネットで私どもの宿泊プランを見て、取材に至ったと伺いました。

一方、新しいホームページは公開してから一カ月余り。まだ、はっきりしたリニューアル効果は分かりませんが、2月のホームページ経由の集客数は前年度の2倍以上になりました。また、これまではなかったことですが、ホームページを見ながら電話で問い合わせてくるお客様が出てきました。

宿泊プランもホームページも新しくしてから日が浅いですが、変化を感じています。
今までのホテル近江屋は低価格で集客してきましたが、今後は「ご当地海鮮グルメの宿」を掲げて、お客様を呼び込んでいけると考えています。

■ ハンズバリューを利用するまでの経緯

– ハンズバリューを利用するまでの経緯をお話しください。

東日本大震災前、当館は厳しい状態でした。三陸沿岸部の宿は大体どこも同様でした。

当時、当館の主要客層は、旅行代理店頼みで集めた「安さがウリ」のバスツアーのお客様。特に集客が難しい冬場には、自館で劇団を招いて観劇プランを企画し、お客様を募って自館バス4台で送迎していました。厳しいなりに、なんとかやっていました。

しかし、2011年、津波が襲来。

ホテル近江屋1階は壊滅的な被害を受け、バス4台は全部流されてしまいました。

当初、ホテル再開は絶望的でしたが、復興工事の開始とともに、工事関係者の宿泊需要が高まり、その受け皿として当館を再開。一時期、経営状況は震災前より良いぐらいになりました。ところが、一昨年の秋頃から工事関係のお客様が減少、昨年は、ピーク時の3割から4割ぐらいまでの落ち込みに。復興工事が一段落し、関係者の宿泊需要が減っていく中で、私どもは、工事関係者に代わる、一般のビジネス客や観光客を新たに呼び込まなければならなくなってきたのです。

しかし、今やネット集客の時代。
震災前のような旅行代理店頼みの集客はできない。かといって、間に合わせでつくった自館ホームページに集客力はなく、一般のお客様にとって魅力的な宿泊プランも用意できていない。

ネット集客に本腰を入れなければと考えていた時に、「いい人がいるよ」と紹介されたのが島田さん。金融機関関係者の仲立ちでお会いした島田さんは経験豊富な方でした。それで島田さんのお力を借りようと決めました。去年の夏のことです。

■ つなぐホームページ(島田)の宿泊プランづくり

– つなぐホームページ(島田)の宿泊プランづくりについて聞かせてください。

プランづくりは、ヒアリングから始まりました。

うちの料理長、ホテル運営に参加している私の息子、私の三人が島田さんからヒアリングを受けました。

「我々には『見慣れた魚』でしかなかった」

– ヒアリングでは、どういうことを聞かれましたか。

特に、料理について、扱っている魚介類やその仕入れ、料理の特徴、ユニークな調理方法など、かなり掘り下げて聞かれました。

料理長が、「その日の朝に水揚げされた、いろいろな種類の魚介を安く仕入れられます」と言ったところ、島田さんが、

「魚介は10種類ぐらい集められますか?」
「できると思います」
「それでは、『10種類のお造り盛り』1人前を試しにつくってみてください」

こうしてつくったお造り盛りの試作品から、「旬の地魚10種お造り盛り」付きプランができました。冒頭で触れた、特別料理付きプランの中で一番人気の通年プランです。

このプランは、我々では、とても思いつかなかった。日常的に仕入れている魚は、自分たちにとっては、単なる「見慣れた魚」。これをウリにしたプランをつくろうとは考えませんでしたね。しかし、この見慣れた魚は、第三者の視点に立てば、捕れたての三陸の旬の魚介。島田さんに指摘されるまで、その商品価値を見過ごしていました。

宿泊プランに付ける特別料理「旬の地魚10種お造り盛り」(1人前)

– 「10種お造り盛り」を拝見すると、1人前とは思えないボリューム感があります。

ええ、かなりのボリュームです。その一方で、他の特別料理付きプランより安いので、お客様はお得に感じるかもしれません。人気は高いのに原価は低い、ありがたいプランです。

「発想がなかったし、商品化できなかった」

– 他にどういう特別料理付きプランをつくりましたか。

2種類の冬のプラン、「キンキの塩釜焼き」プランと「アワビの踊り焼き」プランです。これらも我々では思いつかなかったし、商品(宿泊プラン)化できなかった。「キンキの塩釜焼き」は、ヒアリングの際に挙がったユニークな調理方法の料理の一つ。キンキを塩で覆って蒸し焼きにする料理で、焼き上がったら、塩の塊を木づちで割っていただきます。

– なぜ、「我々では思いつかなかったし、商品化できなかった」と考えられたのでしょう。

私には、「キンキの塩釜焼き」も「アワビの踊り焼き」も、宿泊プランの目玉にするにはパンチ不足に感じられました。特に、アワビの踊り焼きは珍しい料理ではありません。

島田さんは、ご当地海鮮グルメを掲げて、これらのメイン料理に旬の地元魚介を使う一方、メインに加え2つのセットメニューを付けることで、このパンチ不足を解決されました。こうして、「三陸産高級魚キンキの塩釜焼き」付きプランと、「肉厚な岩手産アワビの踊り焼き」付きプランができあがったのです。各プランには、郷土料理「ほうろぎ汁」、さらに「フカヒレの姿煮」がセットで付きます。

ご当地海鮮グルメという切り口で料理の商品価値を見出す発想が、我々にはなかった。仮に思いついたとしても、セットメニューを付けて価値をさらに高め、それなりの料金がつけられるだけのプランにするアイデアが浮かばず、商品化を断念したでしょう。こういうことから、我々では思いつかなかったし、商品化できなかったと考えました。

冬の特別料理(1)「三陸産高級魚キンキの塩釜焼き」
(2)「肉厚な岩手産アワビの踊り焼き」

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